固定軸の型システムは必ず失敗する、という話

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もしTypeScriptの型システムが不完全だとしたら?

日本の開発者の皆さん、こんにちは!海外の個人開発メディア編集長 shiroです。

普段私たちが頼りにしているTypeScriptやRustなどの型システム。厳格なおかげでバグが減ると信じられていますが、もしその「型システム」自体に、どうやっても解決できない数学的な限界があるとしたら?

今回、Hacker Newsで話題になったのは、この根源的な問いにLean 4という形式証明言語で答えを出したという衝撃的なニュースです。

型システム、構造 vs. 名前の終わらない戦い

開発者なら一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、「構造的型付け(Structural Typing)」と「名前的型付け(Nominal Typing)」の論争は、長い間続いてきました。

  • 構造的型付け (TypeScript, Goなど):中身(プロパティやメソッド)が一致していれば、型が同じと見なす考え方。柔軟性が高い。
  • 名前的型付け (Java, Rustなど):型を宣言した名前(class名やtrait名)が一致しないと、別物と見なす考え方。厳格で安全性が高い。

どちらが優れているか、というのは言語設計者にとって永遠のテーマでした。

【本題】固定軸型システムは必ず失敗する

今回、この論争に決着をつけようと試みた論文の核心は、次の通りです。

「構造、継承、階層」など、何らかの固定された軸(Fixed Axes)に基づいて設計された型システムは、必ずその要件を完全に捉えきれないドメイン(領域)が存在する。

これは、特定の言語(Python, TS, Java, Rust)の実装ミスではなく、数学的な不可能性(Impossibility Result)として証明されました。

具体的にどういうこと?

開発者が型システムを設計する際、便宜上「構造」や「継承関係」という軸を使って整理します。しかし、現実世界には、その軸では分類できない、新しい種類の関係性を持つデータ領域が必ず現れるということです。

  • 例えば、あるドメインでは「構造」が重要なのに、別のドメインでは「いつ、誰によって定義されたか(名前)」が重要になる場合、固定された一つの軸では両方を完全に満たす型付けはできません。
  • この証明は、実際の言語仕様から抽出された公理に基づいており、机上の空論ではない点が重要です。

私たちの設計への影響

この結果が、私たち個人の開発や副業にどう影響するのでしょうか?

それは、「型システムは万能ではない」という謙虚さを持つことです。

  • 型に頼りすぎない設計:型チェックが通ったからといって安心せず、実行時チェックやバリデーションを疎かにしない姿勢が求められます。
  • ドメインに合わせた柔軟性:一つの言語(例えばTS)の中でも、構造的型付けと名前的型付けのエッセンスを使い分ける(例: Brand Typeを導入する)など、ドメインの要求に応じて柔軟な設計が必要です。

型システムは強力なツールですが、完全無欠ではありません。この数学的な限界を知ることで、より強靭で現実的なソフトウェア設計を目指しましょう!

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